企業が男性更年期に興味を持つ理由

みなさん、こんにちは。活性研の金井です。

最近、男性更年期について企業研修のオファーを頂くことが増えてきました。
女性更年期については、フェムテックという言葉もあるように、だいぶ民主化してきた気がしますが、男性更年期についても、それを追うように徐々に認知が広まってきているようです。

さて、今回はそんな企業研修をする中で、経営者視点、従業員視点で気づいたことをいくつか書いてみたいと思います。

経営層が抱える、男性更年期に対する課題意識

まず研修オファーを頂くルートですが、私がXやFacebook上で、様々な男性更年期にまつわる情報を発信しているためか、DMで頂くことが多いです。

依頼元は、経営層や企業の人事部がほとんどでして、研修前に1,2度打ち合わせを行いますが、この際、企業としての悩みを吐露頂きます。

では、具体的にどのような課題感をお持ちなのかご紹介します。

・体調不良による、戦線離脱の防止

 まず、多くの経営者やマネージャー陣がおっしゃるのがこれです。
昨今人手不足が叫ばれる中、全国有効求人倍率は2024年8月で1.23、東京都に限って言うと1.76となっています。

実際に、企業各社とも人材を集めようと苦心しており、某大手企業では退職者や過去の内定辞退者をデータベース化し、そこに対してアプローチする取り組みをしたり、ウェビナーでも、内定辞退率を下げる内定者フォローのポイント、というセミナーも開催されています。

このくらい企業各社は人材の確保・繋ぎ止めに苦労していることが伺えます。

このような状況の中、企業文化や業務内容を理解し日々業務遂行している既存従業員が、うつ症状等の体調不良で戦線離脱することほど、痛いことはありません。

仮にこのような状態で休職することになった場合、引き継ぎ相手の調整・引き継ぎ後の一時的な品質低下、休職中の社会保障費負担、復職後の体制調整等、実は見えないコストが非常に多くかかっています。
また休職ならまだしも、そのまま退職するケースも少なくありません。

男性更年期はうつに近い症状を発することも多いですが、これが事前に防げるのであれば経営的意義がとても大きいと多くの経営者やマネージャーの方がおっしゃいます。

・マネジメントが主体となった改善の打ち手

 もう一つよくお話されることとしては、うつのような症状を発した場合、マネジメントによる対策がしづらいという声もお聞きます。

私も以前の職場で、私のチームメンバーがうつ症状で見るからに辛そうでなんて声をかけてよいかわからず、苦心した経験があります。

よく、うつの人には「頑張れ」と声をかけてはだめだと言われますが、マネージャーとしてどのように接し、どのように対処することが正解なのか手探りになっている方も多いのではないでしょうか。

もしこれが男性更年期に起因する症状であった場合、具体的な対処方法はすでに確立されており、それで回復するケースも多くあります。

ここでは詳細は割愛しますが、血液検査による診断を経て、ホルモン補充療法であったり、サプリメント。また運動やバランスの取れた食生活など、生活習慣の改善なども対処方法の一つです。

このように、うつ症状で苦しまれている方に、会社としてクリニックでの診断を促したり、人事や産業医によるアドバイス等、生活習慣の見直し等、具体的なマネジメントを敷くことができます。場合によっては福利厚生の適用や社内クラブ活動への案内等、会社が主体となって打ち手の幅を広げることができます。

以上のようなことが、男性更年期研修のオファーの背景になっていることがわかってきました。

社員が考える、男性更年期に対する課題意識

それでは、従業員当事者としてはどのような捉え方をしているのでしょうか?

私の元へは、企業研修にあわせて個人からの相談を頂くことも多く、月に数回は個人面談を行っています。

その中から、2つほど事例をご紹介いたします。

・Aさん(50歳/大手企業/部長)

 この方は、日本の大手企業の本部に務められている部長職で、誰もが羨むような肩書をお持ちの方です。

家のローンも子供の教育費もまだまだかかっていますが、年収は国内トップクラスで、経済的には不安もなく、何不自由なく生活されています。

ところが1年前から原因不明の倦怠感や疲労感に苛まれており、仕事も手につかずやる気も起きず、また誰にも相談できないで一人悩み苦しまれていました。

・Bさん(45歳/ベンチャー企業/財務マネージャー)

 Bさんは、創業間もない頃のベンチャー企業に参画し、財務マネージャーとして働かれています。
はたから見ても、意欲的にリスクをとり、会社を急成長させていたと思っていましたが、実態はそうではありませんでした。

実は、ひどい倦怠感に合わせて、理由もなくイライラすることが多く、社内でも部下にあたることは日常茶飯事で、これが過程内にも及び、息子に手を出すことも多くあると苦しそうに吐露されていました。

精密検査をしてもどこにも異常がなく、仕事で疲労が溜まっているだけだと割り切って働かれていましたが、ついにBさんの所作が会社内で問題となり、一時的に休職勧告を受けられていました。

Aさん、Bさんのパターンで共通しているのは、いずれも「原因がわからない」、「誰にも相談できず人知れず苦しんでいる」という2つです。

これはこの両名に関わらず、その他相談をお受けする多くの方が同じようなことをおっしゃっています。

それくらい、企業内で苦しまれている方が多くいらっしゃるということだと思います。

実際に研修を受けた企業側の声

私の男性更年期研修では、主に男性更年期そのものを理解頂くことに合わせて、予防と改善についてお話させて頂いておりますが、実際のアンケートの声をご紹介したいと思います。

(経営層)
・「男性のみならず、女性社員にも知ってもらえたことは意義深い」

・「企業として同様の悩みを抱えている経営者仲間にも、本研修の存在を共有したい」

・「女性社員に理解してもらうことで、パートナー(夫や彼氏)の男性更年期起因で会社を離れることが防げるかもしれないと」

(従業員)
・「もうこのまま改善しないのではないかという焦燥感と失望感を抱いていたが、改善できるということがわかり、一筋の光がさしが気がする。」

・「最近自認していた症状や気持ちの変化に恐怖心を抱えていたこともあり、今回の研修で男性更年期のメカニズムや改善方法を理解することができ、前向きな気持になれた」

・「最近イライラすることや、倦怠感がひどく鬱かと思って心療内科に通っていたのですが、それでも改善されず悩んでいましたところ、本研修でお話される内容が心当たるものばかりで、少し救われた気がします」

多くの方から同様の声をお聞きしますが、このようにインターネットで調べても情報が分散されわかりづらく、心療内科に通っても改善されない中、多くの方が苦しまれていることが想像に難くありません。

また、男性更年期の予防や改善についてご説明する結果、おおよそ80%の方が、”今後、生活習慣や食生活の見直しを始める”とアンケートで回答されています。

企業視点による男性更年期の捉え方、いかがでしたでしょうか?
まだまだ認知は十分ではないと思いますが、継続して多くの企業の方々向けに、引き続き活動を続けていきたいと思います。

※自社向けに研修を開催して欲しいという方がいらっしゃいましたら、下記までお問い合わせください。

担当:金井
otoiawase[at]kasseiken.net