男性も40代以降になると、疲れやすさやイライラ、性欲の低下など、心身にさまざまな不調を感じることがあります。
もしかすると、これらは男性更年期障害のサインかもしれません。この男性更年期障害の対策として効果的なのが、運動や筋トレです。
この記事では、男性更年期障害の症状の予防・改善に効果的で、取り入れやすい運動方法をご紹介します。
男性更年期障害とは?
テストステロンの低下が原因
男性更年期障害は、加齢やストレスにより、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下することで起こります。テストステロンは筋肉や骨の維持、性機能、精神的な安定に関与しています。そのため、テストステロンが低下すると以下のような症状が現れることがあります。
・身体的症状:疲労感、筋力低下、体脂肪の増加、性機能障害(性欲減退、勃起不全)
・精神的症状:イライラ、不安感、抑うつ
運動・筋トレがもたらす効果
テストステロンの分泌を促進
運動や筋トレには、テストステロンの分泌を自然に促進する効果があります。筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、ホルモンバランスが整いやすくなるのです[1]。
心身のリフレッシュ
運動はストレス解消に効果的であり、心身のリフレッシュにつながります。適度な運動を行うことで、気分が高まり、精神的な安定を取り戻すことができます[2]。
取り入れやすい運動・筋トレメニュー
男性更年期障害に有効な運動や筋トレは、いわゆるジム等で行う本格的なものに限りません。例えば、日々の生活に取り入れられる運動や自宅でのトレーニングでも十分に効果を見込めます。
(1)ウォーキング
ウォーキングは最も手軽に始められる有酸素運動の1つです。1日20〜30分程度の早歩きを取り入れるだけでも効果があります。
・ポイント:
‐背筋を伸ばし、大股で歩く。
‐腕をしっかり振ると全身運動になる。
‐通勤や買い物の際に意識して歩く。
(2)スクワット
スクワットで下半身の大筋群を鍛えることで、テストステロンの分泌を促進します。
・方法:
(1)足を肩幅に開いて立つ。
(2)背筋を伸ばし、お尻を後ろに突き出すように腰を下ろす。
(3)太ももが床と平行になるまで下げ、ゆっくり元の姿勢に戻る。
・ポイント:
‐膝がつま先より前に出ないように注意する。
‐1セット10回を目安に、無理のない範囲で行う。
(3)ヨガ
ヨガは心身のバランスを整える運動として注目されています。
・効果:
‐柔軟性の向上
‐ストレスの軽減
‐呼吸法によるリラックス効果
週2回、10週間のヨガのスタジオ参加により、運動不足だった人に運動習慣がついたことを論じる論文もあり、継続的な運動習慣をつけるうえでヨガは良い選択肢になる可能性があります。[3]
運動を習慣化するコツ
ここからは、具体的な運動習慣の身につけ方について考えていきましょう。なかなか身につけるのが難しい運動習慣。どのように習慣づけるかには色々な手法があり、ここではいくつか例を示します。
(1)目標を設定する
小さな目標から始めて、達成感を積み重ねましょう。「最初の1週間は毎日10分間のウォーキングをする」など、まずは小さな目標を設定して、それを達成することで習慣化を目指します。どんなに小さな目標でも構いません。継続して達成することで「自分はできる」という気持ちになれるでしょう。
(2)スケジュールに組み込む
日々の生活の中でいつ運動をするかを具体的にスケジューリングすると続けやすくなります。例えば「朝起きたらストレッチ」「昼休みにスクワット」など、具体的な予定をスケジュールに組み込むようにしましょう。
※既往症や持病がある場合は、運動を始める前に医師に相談してください。
まとめ
男性更年期障害の対策として、運動や筋トレは非常に効果的です。取り入れやすい運動から始めて、テストステロンの分泌を促進し、男性更年期障害を予防・改善しましょう。継続することで、きっと日常生活の質が向上するはずです。
1 Hackney AC, et al. “Testosterone responses to intensive interval versus steady-state endurance exercise.” J Endocrinol Invest. 2012 Oct;35(9):947-50.
2 Mikkelsen K, et al. “Exercise and mental health.” Maturitas. 2017 Dec;106:48-56.
3 Nahar VK, et al. “Effects of Yoga on Psychosocial Variables and Exercise Adherence: A Randomized, Controlled Pilot Study.” Altern Ther Health Med. 2019 Jan;25(1):32-40.
この記事の監修者

伊勢呂 哲也
医療法人インテグレス理事長
大宮エヴァグリーンクリニック 理事長・院長
東京泌尿器科クリニック上野/
池袋消化器内科・泌尿器科クリニック/
新橋消化器内科・泌尿器科クリニック 理事長
泌尿器科・消化器科の専門領域で年間3万人の外来診察を行う。著書、テレビ出演歴多数。専門Youtubeチャンネルは18万人以上の登録者(2025年1月現在)
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