男性更年期障害とは
男性更年期障害とは、加齢やストレス、生活習慣などが要因となり、テストステロンを中心としたホルモンバランスの低下によって、身体的・精神的にさまざまな症状が引き起こされる状態です。
一般的には40代以降に多く発症するといわれていますが、実際にはそれよりも若い年齢から少しずつ進行するケースがあります。本記事では、男性更年期障害がいつから始まるのか、そして初期段階で気づきやすいサインにはどのようなものがあるのかについて解説します。
男性更年期障害はいつから始まるのか
一般的には40代〜50代での発症がもっとも多い
テストステロン値は10代〜20代がピークとされており、30代を過ぎると年間約1%の割合で低下していきます。この減少が顕著になる40代〜50代に、男性更年期障害の症状を強く感じることが多いと報告されています。
ストレスや生活習慣の影響で若年層での発症例も
しかし、現代の社会では、職場や家庭でのストレス、過度な飲酒や喫煙、睡眠不足などが重なることで、比較的若い30代でもテストステロンの減少が進み、男性更年期障害の症状が出始めることがあります[1]。
遺伝や体質によって個人差が大きい
テストステロンの分泌量や加齢による減少のスピードは個人差が大きいため、「いつから始まる」と一概には決められないことが多いのが現状です。
初期段階で気づきやすいサイン
それでは、どのような症状から男性更年期障害を疑っていけばよいのでしょうか?男性更年期障害の初期症状は、誰にでも起こうる疲労やストレスによる体調不良と似ているため、見過ごされやすいのが特徴です。以下に示すサインが複数みられる場合は、早期に専門医へ相談することを検討しましょう。
疲れが取れにくい・やる気が出ない
・肉体的疲労:疲労回復力の低下や倦怠感が続く
・精神的疲労:興味・関心が薄れ、モチベーションが低下
テストステロンは、筋肉の合成や疲労回復に関与します。そのため、ホルモン値の低下が進むと疲れやすさややる気のなさといった初期サインが現れやすくなります[2]。
イライラや不安感が増す
・感情コントロールの乱れ:些細なことでも怒りっぽくなる
・不安や落ち込み:気分の浮き沈みが激しくなる
テストステロンは、メンタル面にも影響を及ぼすとされています。イライラや不安感が続く場合、ストレスだけでなく男性更年期障害の可能性も視野に入れる必要があります[2]。
性欲の減衰
・性交渉への関心が薄れる
・朝立ち(朝の勃起)の回数や硬さが減る
男性ホルモンの減少は、性欲や勃起機能にも直接的に影響します。特に、朝立ちの頻度が低くなるのは比較的気づきやすいサインの一つです[2]。
体力・筋力の低下
・運動能力の低下:階段の上り下りや軽いジョギングで息が切れやすい
・筋肉量の減少:筋トレをしても思うように筋力がつかない
テストステロンは筋合成に関わっています。若い頃と同じ運動量でも筋力や持久力が落ちたと感じるようになったら要注意です[2]。
体毛の変化・トラブル
・体毛が薄くなる:髭や胸毛の伸びが遅くなる
・皮膚のハリ低下:肌の乾燥や皮膚のたるみを感じやすい
テストステロンは、体毛や皮膚の状態にも影響します。急に髭が薄くなるなどの変化がある場合は、男性更年期障害を疑う一つのサインと言えます[2]。
初期のサインは見逃しやすい
一過性の疲れやストレスと混同しがち
男性更年期障害の初期症状は、一般的な疲労やストレス症状と似ているため、「一時的なものだろう」「年齢のせい」と見過ごされやすい傾向があります。自身ではそう思っていても、周囲が「最近変わった」と感じることがあるならば、それは男性更年期障害の初期サインかもしれません。
家族や職場の理解不足
男性更年期障害は女性の更年期障害に比べ認知度が低く、周囲も変化に気づきにくいことが多いです。そのため、本人自身が不調を感じても「気のせいだよ」と言われる、あるいは医療機関の受診には繋がらないといった場合があります。
まとめ
男性更年期障害は、40代〜50代の発症が多いものの、生活習慣やストレスによっては30代やそれ以前の年齢でも生じることがあります。
初期段階では疲れやすさやイライラなど、日常生活の中で見過ごしがちなサインが表れやすいのが特徴です。「いつから」始まるかは個人差が大きい一方、早めに対策をとることで症状の進行を抑え、生活の質を維持することができます。気になる変化があれば、一度専門医に相談してみましょう。
参考文献
この記事の監修者

伊勢呂 哲也
医療法人インテグレス理事長
大宮エヴァグリーンクリニック 理事長・院長
東京泌尿器科クリニック上野/
池袋消化器内科・泌尿器科クリニック/
新橋消化器内科・泌尿器科クリニック 理事長
泌尿器科・消化器科の専門領域で年間3万人の外来診察を行う。著書、テレビ出演歴多数。専門Youtubeチャンネルは18万人以上の登録者(2025年1月現在)
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